近年パソコンを使いこなすシニア世代が増えています。
総務省によれば、65歳以上の約7割がインターネットを利用しています。
それに伴い、ホームページや迷惑メールによるフィッシング詐欺などのトラブルが急増しています。
ひとくくりにトラブルとは言っても本人のスキルや判断能力には個人差がありますが、高齢者は律義で生真面目な人が多く、『自分で何とかしなきゃ』と深追いしてしまうことが多いようです。
そのため高齢者が困った様子を見せたり、言動や態度におかしな点があったりしたら、本人に声をかけて確認をすることがとても重要な点となります。
またシニアの方は、「まずいかもしれない」と思っても焦らず、自己判断をせず、自分よりインターネットについて詳しい人間や然るべき相談窓口に相談することが大切です。
年齢別インターネット利用率の推移
2010年末の65~69歳のネット利用率は57%でしたが、15年末には71%に伸びました。
70~79歳でも39%から54%になりました。
もともと若い頃からパソコンを使っていた人たちがシニア層になったり、外出が困難になってパソコンを使って買い物をするようになったり、さまざまな要因があると思いますが、これからもどんどん利用率は伸びていくでしょう。
私の父と母も60代ですが、20年以上前からパソコンを使いこなしています。
買い物も投資なども全てパソコンを使っていますのでなくてはならないツールのようです。
ワンクリック詐欺・架空請求詐欺で多い相談件数は何?
国民生活センターによると、商品やサービス全般に関する15年度の相談で、「アダルト情報サイト」が60代でトップ、70代で2位となりました。
ネットの会員制サービスなどの「デジタルコンテンツ(全般)」も、60代で2位、70代で3位でした。
シニアの男性と女性とではその内容にも違いがあり、男性では「アダルト情報サイト」、女性では「商品一般」が突出して高いという結果になっています。
また、お金を既に支払ってしまったという相談(既支払いの相談)については、性別・年代を問わず増加傾向にありますが、特に60歳以上の男性が目立ち、2011年度は225件でしたが、2015年度は650件となり、約2.9倍に増加しています。
お金は安易に支払ってはいけません。注意しましょう。
インターネットによる詐欺にはどのようなものがあるの?
1.登録完了画面や料金請求画面が突然現れる
最も多く、昔からよくあるものです。
登録完了画面や料金請求画面が突然現れ、様々な手口で消費者を不安にさせます。
「シャッター音が鳴る」「支払期限までのカウントダウンが始まる」の他、「『個人情報取得中』と画面に表示される」「表示された画面が消えない」等、消費者を不安にさせる巧妙な手口が多いです。
スマートフォンでアダルトサイトを閲覧している場合では、画面上の動画再生ボタンや広告バナー等に触れるつもりがなかったのに誤って触れてしまい、登録完了画面や料金請求画面が突然現れるケースもみられます。
事例
- パソコンでアダルトサイトが無料と表示があったのでクリックしたら有料登録になり、料金請求画面が表示された。
- 13万5千円と高額の料金請求画面が表示されたため、「退会の手続き」という画面へ。
- パソコンあるいは電話で申し出ができると書かれていたので自宅の固定電話から電話をした。
- 担当者が「申し込んでしまったのでキャンセルはできない。1年間は同額で利用できる。明日の14時までに13万5千円をコンビニで支払わないと料金が25万円になる」と言われた。
- 「有料だとは思っていなかった」と言ったら「18歳以上の人がそんなことを言ってはいけない」と言われた。
対応策
決して業者へ連絡してはいけません。
消費者が業者へ連絡をしてしまったために電話番号やメールアドレス等が知られてしまう場合や、業者とのやり取りのなかで個人情報を聞き出されてしまう場合もあります。
消費者の不安をあおる表示や作動(スマートフォン等の個体識別番号やシャッター音等)がある場合も、個人情報の特定や漏えいが起きているわけではありませんので、業者への連絡はしないようにしましょう。
業者にお金を支払ってしまうと、取り戻すことは困難となります。
納得できない請求をされた場合や契約が成立したか分からない場合等は慌ててお金を支払わないようにしましょう。
また、利用した覚えが全くない場合は請求を無視しましょう。
2.「退会・解約はこちら」「誤作動の方はこちら」等と表示、業者へ連絡をさせる
登録完了画面や料金請求画面内に「退会の手続き」「誤操作で登録になってしまった方はこちら」「退会・解約はこちら」の他、「クーリングオフ希望の方はこちら」等の表示が記載されている場合があります。
事例
- スマートフォンでインターネットニュースを見ていた時に広告に触ってしまい、アダルトサイトにつながった。
- 突然画面がかわり、「簡易登録完了」という表示がID番号と一緒に出た。
- 「間違って登録した方は30分以内にこちらにご連絡ください」と書いてあった連絡先にスマートフォンから電話をした。
- 業者から「90万円かかる」と言われ、そのまま電話を切ってしまった。
- アダルト画像は見ていない。業者の情報は、電話番号と担当者名しかわからない。今後どのように対処すればいいか知りたい。
対応策
サイト内のボタンを安易にクリック・タップしないようにしましょう。
うっかり押してしまい、上記のようなことになった場合も決して業者に連絡を取ってはいけません。
業者へ連絡を取ってしまうと、「本人確認のために必要だ」等と言われ、消費者は業者に個人情報(氏名、住所、職業、連絡先等)を伝えてしまうケースもあります。
慌ててお金を支払わず、利用した覚えが全くない場合は請求を無視しましょう。
3.「支払わないと職場に連絡する」等と支払いを迫る
消費者が業者から「今日中なら10万円、明日以降であれば20万円になる」「支払わないと職場に連絡する」「請求に応じなければ法的措置を講じる」「とりあえず支払えば後で返金する」等と支払いを迫られ、請求に応じてしまうケースです。
事例
- スマートフォンでアダルトサイトの広告バナーをタップしたところ、突然シャッター音がして「登録完了。期限内に振り込まないと請求額が高くなる。誤作動の場合は取り消すので電話せよ」と表示された。
- 電話をしたが「誤作動と言うのはネットのトラブルが生じた場合で、あなたは自分でタップしたのだから誤作動ではない」「支払わないと職場に連絡する」と言われ、コンビニで支払うように指示された。
- 仕方なくコンビニへ行き、相手へ電話をかけると、8ケタほどの番号を二つ言われ、それをコンビニのレジで伝え、合わせて15万円を支払った。
- 相手からは「もう請求は無い」と言われたが、インターネットで調べたら詐欺という書き込みがあった。
対応策
「法的措置に出てほしくなければ支払うように」「支払わないと職場に連絡する」等と強く請求され支払ってしまうケースがありますが、業者にお金を支払ってしまうと、取り戻すことは困難となります。
納得できない請求をされた場合や契約が成立したか分からない場合等は慌ててお金を支払わないようにしましょう。
また、利用した覚えが全くない場合は請求を無視しましょう。
4.相談した先が実は探偵業者で、さらなるトラブルに
支払いを迫られた消費者や請求に応じてしまった消費者がインターネットでトラブルの解決方法等を検索し、表示された連絡先を消費生活センター等の公的機関のものだと思い問い合わせたところ、実際は探偵業者等だったというケースが多くみられます。
このような場合、探偵業者等から「放置していてはいけない」「個人情報が特定される」等と説明され、解決したい思いで契約をしたものの、後に必要ないと気づき解約を求めたところ、「もう調査をしたので返金できない」等とトラブルになるケースがあります。
探偵業者はアダルトサイト業者の調査はできますが、解約交渉等をするには弁護士資格等が必要です。
相談は、お住まいの自治体の消費生活センターに!
トラブルが起きてしまい不安な時や相談したいときは、正しい場所に相談をしましょう。
消費者ホットライン:「188(いやや!)」番
お住まいの地域の市区町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
国民生活センターのホームページ(http://www.kokusen.go.jp/)
こちらにも全国の消費生活センター等の連絡先を掲載しています。
消費生活センター等への相談は無料です。
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