私の息子は7歳ですが、5歳を過ぎた頃からたまに「うそ」をつくようになりました。
最初のうちは子ども特有のすぐにうそとわかるしカワイイものだったのですが、最近では巧妙になってきた感じがありますし、お友達も嘘をつくので何が本当で何が嘘なのかとても分かりにくくなってきました。
しかしおそらくほとんどの大人が、過去に嘘をついたことがあると思います。
私も当然子供の頃も嘘をついていた記憶がありますし、嘘をつくと後々嘘の上塗りが必要になって面倒だということがわかるようになって自然とうそをつかなくなりました。
しかし逆に、社会に出ると大人でも平然とうそをついて平気な人を何人か見てきました。
すぐ嘘とわかるうそを息をするようにつく。そういう人も一定数います。
そう考えると「うそ」と言うものがどういうものなのか、子供にも正しく認識してほしい、と思います。
子どもがつくうその種類
子供がつくうそにはいくつかの種類があります。
- 空想世界と現実を混同してしまうための嘘
- 願望からついてしまう嘘
- 自分を守るための嘘
- パパやママ、お友達の興味を引くための嘘
- 親の真似をしてつく嘘
- 病気
1.や2.のような、絵本やアニメの世界のことをあたかも現実のことのように話してしまったり、お友達が遊園地に行くのがうらやましくて「私も今度行くんだ」というような嘘は、幼児期の子供に良く見られるもので、成長するにつれて減ってきますし、誰かをだまそうというものではないので大きな問題はないですよね。
問題があるとすれば3.以降のうそになります。
3.自分を守るための嘘
最近私の息子の周りでよく問題になるのが、この保身のためのうそです。
先日も、息子のルイがひどく落ち込んだ様子で学校から帰ってきました。
「どうしたの?」と聞いたところ、
「帰り道、さくらちゃん(幼稚園から一緒の大の仲良しの女の子)が『いつもと違う道から帰ろう』って言うから、二人で違う道を歩いてたら、浩二くん(ルイの同級生)に見つかって、『そういうことしちゃダメなんだよ!』って怒られたんだ」
「うん」
「そうしたらさくらちゃんが『だって、ルイくんがこっちから帰ろうって言うから!』って言ったんだよ!ひどくない?
俺、『違うじゃん!さくらちゃんが言い出したんでしょ!』って言ったんだけど、浩二君は『さくらちゃんを信じる』って俺のこと信じてくれなくて」
「もう、さくらちゃんとも、浩二くんとも、二度と話をしない!!」
と号泣。
私は
「そっかあ、それはショックだったね。
泣きたくもなるね。
でもね、さくらちゃんが言い出したとしても、ルイは浩二君のように『そっちから帰っちゃいけない』っていうべきだったと思わない?」
と言ったら最初は納得していなかったルイですが、最終的には
「そうだよね、俺も良くなかったし、さくらちゃんは浩二くんのことが怖かったのかもしれないし、浩二君は女の子には優しくしないといけないって思ったのかもしれないよね。」
と自分なりの落としどころを見つけたようで、次の日にもさくらちゃんと普通に話していました。
さくらちゃんママにもこういうことがあったらしいよ、と話したところ、さくらちゃんとも話し合ったようでした。
さくらちゃんは
「私は嘘をついてない。誘ったのはルイ君のほう。
私は行かないって断ったけど、『それならもううちに遊びに来るな。もうさくらちゃんとも遊ばない』って言われて断れなかった。」
と言ったそうです。
『それならもううちに遊びに来るな』は確かにルイがさくらちゃんに良く言う言葉です。
どちらかが嘘をついているのは確実なのですが、結局どちらが嘘をついているのかはわかりません。
私はルイは嘘をついていなかったと思っているし、さくらちゃんママも同様でしょう。
かといって、二人を並ばせて
「さあ、どっちが嘘をついているのか正直に言いなさい!」
と犯人捜しをするのも何か違うと思います。
ここで大事なことは、
「人を傷つけると必ず問題になり、相手をだませたとしても自分は罪悪感を背負うことになる」
ということと、
「自分が言ったことをママが信じてくれた」
ということだと思います。
もちろん、誰かに迷惑を掛けたことについて嘘の話をするというのは、自分が悪いと思われたくなくて嘘をついてその場をやり過ごそうとしている状態ですから本当は見逃さないほうがいいという考え方もあるとは思います。
ただ、大人が徹底的に逃げ道を防いで嘘を暴き出すというのが必ずしも正しいとも思えません。
何か起こった時には大人は子供の話を聞く、あとは子供たち同士で問題解決するのを待つ、でいいと思っています。
4.パパやママ、お友達の興味を引くための嘘
子どもは、パパやママ、お友達の気をひくためにうそをつくことがあります。
「今日は先生にたくさん褒められた」
「俺、ゲームソフトこんなに持ってるんだよ」
とかそういう類のものです。
この場合、親やお友達に相手にされていない、という寂しい気持ちが原因になっていることがほとんどですので、嘘とわかった時に頭ごなしに叱るのは逆効果です。
ルイはこういった嘘はあまりつかないのですが、実は私自身が子供時代に親についたことがあります。
私には2歳年下の妹がいるのですが、今思い返してもひどかったな、と思うくらい、私より妹のほうが何倍も母にかわいがられていました。
小学1、2年生のある日、母が洗面台で顔を洗っていた時に母に話しかけたのですが聞こえなかったようで返事がありませんでした。
そこで私は何の気なしに
「お母さん、モモコ(妹)が死んじゃった。」
と言ったのです。
私はすぐに
「嘘だよ~」
と言ったのでそのまま笑ってくれるかな?と思ったのですが、ものすごい怒られました。
何であんな嘘ついたのかな~?と今考えても私自身よくわからないのですが、毎日とても寂しい気持ちで過ごしていたことはよく覚えています。
もしも嘘と言えるくらい子供が物事を大げさに話したりするような場合は、寂しい気持ちを抱えているといっていいと思います。
横浜心理ケアセンター代表で心理カウンセラーの椎名あつ子さんによると子どもがつく嘘は、親による影響も大きいと言います。
子どもが親につく嘘は、親に対して不信感や恐怖心を抱えていることも考えられますし、逆に悪いことを隠すための嘘だけでなく、親を心配させないようにしようとつく嘘も心配なんだとか。
子どもが嘘をついたときには、「うそ」そのものを問題視するのではなく、「まずは子どもが嘘をつきたくなるような環境を作っていないか?」見直してみることも大切なようです。
5.親の真似をしてつく嘘
親が嘘をつけば、子供は当然真似をします。
相手が子供だからこれくらいいいだろう、と軽い気持ちでうそをついていれば子供も嘘をつくようになります。
私は子どもの頃祖母と一緒に住んでいたのですが、祖母が話を盛って話すタイプの人でした。
なんでも大げさに話すのです。
5、6歳の頃の私はそれを聞いていて「おばあちゃん、うそついてるなあ」と思いながらも話が盛り上がるのを聞いていて、私も少し大げさに話をするようになった時期がありました。
結局私は、うそをつくとその嘘を隠すためにさらにうそをつくことになり、友達との関係が窮地に陥って激しく反省し、それからそういった嘘をつくことはなくなりました。
親が嘘をつけば、子供は一度は真似します(嘘を見抜けないということはまずありません)。
子どものウソを叱る前に、自分自身が子供に軽い気持ちでうそをついていないか顧みることも大切なことです。
6.病気
幼少期の心の傷が原因で、ある程度成長してから心の病気として嘘をつくようになることがあります。
演技性パーソナリティ障害や虚偽性障害などです。
演技性パーソナリティ障害は、幼少期に常に自分の気持ちを隠して演技をしなければならないような環境で育つと発症することが多く、ほとんどは愛情不足が原因と言われています。
虚偽性障害は相手の気をひくために仮病を使ったり、重度になるとわざと自分の体を傷つけて心配してもらおうとしたりします。
子どもでも発症することがありますので何かおかしいと思った時には専門家に診てもらうことが必要になるでしょう。
子どものウソは大人の誰もが通ってきた道ですが、大人自身何か間違って子供に接している時のサインでもあると思います。
子どもが嘘をついた時に「うそをついちゃダメ!」と叱るだけではなく、なぜ子どもがうそをついたのか、自分自身が子供にうそをつかせていないか、子どもにうそをつくことがどういった結果を招くことになるのかをわからせることができているか、多角的に見つめる必要があるのではないでしょうか。
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