「将来、静岡あたりに引っ越さない?」
夫が帰宅して、急にそんなことを言いだしました。
私たちは2年前、永住するつもりで今の家に越してきたばかりなので少し驚きましたが、私はもともと色々な場所で暮らしてみたいという興味があるので特に深く考えもせず、
「うん、いいよ。ゆきくん(夫)と子供たちがいれば、私はどこでもいいよ」
と言いました。
すると、「ああ、違う違う」と言った後、こう続けました。
「子供二人が独立して、俺とカオリの両親もいなくなって、二人だけになったら。
俺、海と富士山が見える場所で暮らしたいな」
…
…
…
少なからず、驚いてしまいました。
私と私の夫は、学生のころからの付き合いで、結婚は遅めだったもののかれこれ人生の半分を共にしています。
昔の夫は刹那主義で、自分の未来に何の希望も持っていませんでした。
彼の両親は彼が幼少の頃から不仲で、自営業だったためお金のいさかいが絶えず、常に彼の目の前で言い争いをしていました。
そのため彼は
「絶対に結婚なんかしない」
「仕事にやりがいなんか見出さず自分一人がが生きていければ十分」
と本気で考えており、私と付き合っていた頃も
「俺は絶対結婚はしないから、結婚したいなら別の人を見つけてね」
といつも言っていました。
20代の頃は「俺は30歳になったら死ぬから」とも言っていました。
私はそんな彼の言動がどうしても理解できず、どうしてこの人はこんなに自分を大事にしないのだろう?
どうして自分の人生と私に向き合ってくれないんだろう?
とずっと苦しんでいました。
私は結婚もしたいし子供も欲しい、でもこの人の人生に私は不要だし望んでいない…。
でも健康な人間が30歳で簡単に死ぬはずもなく、30歳になった頃やっと私との結婚を決断(笑)。
しかし結婚しても、子供ができても、彼の基本スタンスは変わらず、
「人間簡単には変わらないよね~」
と私もあきらめモードでした。
ところがここ最近になって、子供たちの将来に関する話題が富に増えだしました。
子供たちの将来のためには自分が変わる必要があるとも。
「おお~、キミも大人になったのだね!」
と私も喜ばしく思っていた矢先、冒頭のセリフが飛び出したのでした。
いつか、二人だけで、本当に暮らしたいと思う場所で暮らそう。
ああ、私たちはいつの間にか、本当の家族になっていたんだ。
ちゃんとした夫婦だったんだ。
そんな風に思って胸が熱くなりました。
現実は、二人だけで暮らせる時間がどれだけ残されているかもわからないし、子供たちから離れた場所で暮らすことを不安に思うかもしれないし、何よりも私は東京が好き(笑)。
だから海と富士山が見える場所で将来暮らすかどうかは別として、今は彼の思いを大切にしたい、そう思いました。
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